-海洋生物資源としての鯨類の持続的利用のために-

クジラやイルカの生態や生理を理解する

~自然の海と水族館をフィールドとして~

 鯨類研究センターは,平成28(2016)年12月,三重大学大学院生物資源学研究科内に新たに設置された研究のための組織です.(2024年度より,「三重大学 研究基盤推進機構 鯨類研究センター」となりました.)

 世界の海には約90種のクジラやイルカの仲間(鯨類)が生息していますが,日本の周辺海域には,その約半分の40種が来遊,生息しています.三重大学のキャンパスが面する伊勢湾にも,スナメリという体長2メートルに満たない小さなイルカが1年中生息しています.日本では,これら鯨類を漁業の対象として歴史的にも長く捕獲して食用にしたり,水族館等での飼育展示に供したり,あるいはウォッチングの対象として観光資源としても利用しています.

 大型海生哺乳類としての鯨類に対しては,国際的にもさまざまな見方や考え方がありますが,鯨類研究センターでは,飼育個体,野生個体を問わず,また地域も限定せず,広くそれらを研究対象と考え,水族館等における飼育個体の繁殖推進に関する基礎から応用にいたる研究,野生鯨類の資源としての利用と保全のための研究等を生理学,生態学,動物行動学,生物音響学,分子生物学,生化学等,さまざま手法を駆使して調査・研究を進めていきます.また,研究推進のための研究者間の交流や学生の学内外での教育プログラムの開発にも今後取り組んでいます.

目的

鯨類研究センターは,海洋生物資源としての鯨類の多様な形態による持続的利用に関する教育・研究を行うとともに,その教育・研究成果等を通じて,広く地域社会に貢献することを目的としています.

業務

鯨類研究センターは設置の目的を達成するために以下の業務を行います.

① 飼育下鯨類の繁殖促進に関する事項

② 鯨類の生態解明に関する事項

③ 関連研究者との交流や研修会等の企画に関する事項

④ 関係機関との研究協力に関する事項

⑤ その他センターの目的を達成するために必要な事項

繁殖研究部門

  • 鯨類の繁殖促進に寄与する生理,行動,分子生物学的基礎研究
  • 鯨類の人工繁殖技術に関する基礎および応用研究
  • その他の鯨類の繁殖に関する研究

生態研究部門

  • 沿岸性鯨類の生態解明に関する研究
  • 野生鯨類の保全と利用に関する研究
  • その他の鯨類の生態に関する研究

研究交流・啓発部門

  • 研究会,シンポジウムの企画等の業務
  • 研究者間の交流に関する業務
  • 学内外の実習,教育プログラム開発等の教育支援に関する業務
  • その他の研究交流や啓発に関する業務